何度もみたくなる夜空の図鑑『宙ノ名前』は私の天文人生に欠かせぬパートナー【書籍紹介】

星の本など

皆さんには何度も手に取ったり、読みたくなったりする本ってありますか?私は『宙(そら)ノ名前』という本です。タイトルの通り、夜空の名前とその逸話が星景写真とともにつづられている、写真集のような図鑑です。
とあるドラマの中でキーアイテムとして登場したことがきっかけで人気になったため、ご存知の方も多いかもしれませんね。そのドラマと『宙ノ名前』は、私の天文好き人生に影響を与えました。今回はそんな大切な本『宙ノ名前』を中心とした私の青春時代のお話です。
他の記事とは違った思い出話とちょっとした自慢話になりますので、そんな話は読みたくないよという方はスルーしてくださいね。

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『空の名前』と『宙ノ名前』

空の名前



『宙ノ名前』を紹介する前に『空の名前』を紹介します。なぜなら、『宙ノ名前』は『空の名前』の夜空版として出版されたものだからです。
『空の名前』は「雲」「水」「氷」「光」「風」「季節」の6章に分けて、300点余りの美しい空の写真と説明が書かれているビジュアルブックです。色や雲の形や天候の違いによって、空には様々な名前があるのだということを教えてくれます。
1992年に光琳社出版からリリースされ、ベストセラーになりました。

宙ノ名前



そして、『空の名前』リリースから3年後の1995年に空の名前・夜空版歳時記風天体図鑑である『宙ノ名前』が出版されました。
『空の名前』『宙ノ名前』共に京都の美術系の書籍を多く取り扱っていた光琳社出版で刊行されましたが、1999年に倒産となり、現在は角川書店から新装版として刊行されています。
『空の名前』と『宙ノ名前』は同じ方が著者だと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、『空の名前』は日本気象協会に勤務されていた写真家の高橋健司先生で、『宙ノ名前』は天体写真家の林完次先生です。

ひねもす


実は高橋健司先生と林完次先生のお二方が共著された『ひねもす』という本が1999年に光琳社出版で刊行されています。空を中心とした写真がメインで、合間にエッセイがあり、最後にはお二人の対談が収録されています。『空の名前』と『宙ノ名前』どちらの本も好きなファンにとっては胸躍りました。残念ながらこの本は今は手に入らないようですね。

むっちゃんと『宙ノ名前』

バイト先の本屋で出会う

むっちゃんが『宙ノ名前』と出会ったのは、1995年夏ごろ、当時アルバイトしていた本屋さんの店頭でした。
本のタイトルと装丁に目を惹かれ、手に取って中をちらりと見てみると美しい星空の写真が目に入りました。フルカラーの写真集ですので、当時は税込み価格3,200円となかなかの金額。アルバイトしているとはいえ、高校生が気軽に購入できるものではありませんでした。それでもどうしても気になってしまい、何度も何度も手にとっては棚に戻すを繰り返していました。

天文部に誘われる

むっちゃんはもともとはブラスバンド部に所属をしていました。夏のコンクールに向けて、朝練、昼練、放課後練と毎日毎日練習の日々を過ごしていたのですが、そのハードな日々は身体に影響を及ぼしていたのです。演奏中にピキーンと手首に激痛が走りました。腱鞘炎になってしまったのです。痛みをごまかしながら、なんとか夏のコンクールまでは乗り切れました。ですが、ペンも握れないほどの痛みも感じるようになってしまい、勉学や日常生活にも影響が出てしまったため夏休み中にブラスバンド部を退部し小学校から続けていたブラスバンド人生は幕を閉じたのです。
そんな燃え尽きた夏休み明けに、友人から勧誘されたのが天文部でした。星には興味があり、理系選択科目でも地学を選択して顧問の先生とも交流があったので、それも悪くないかなと深く考えずに天文部に入部。しかし、ほどなく天文部で最も忙しいイベントが待ち受けていたのです。高校の秋の大イベント”学園祭”です!
天文部には、天井から吊り下げる傘のような形のスクリーンの内側に投影するタイプの簡易プラネタリウムがありました。
参考:3m傘ドーム(吊り下げ式)
学園祭までにそのプラネタリウムの解説ができるようになるというミッションが待ち受けていたのです。「さあ大変だ、1カ月半で星座や星について語れるようにならなきゃいけないぞ!それならとっておきの本があるじゃないか!!」
そこでようやく『宙ノ名前』を購入したのです。

ドキドキの学園祭

『宙ノ名前』には星や天文現象、星座など夜空に関する名前と解説がつづられていました。特に目を惹いたのは、月の名前の多さです。満月の次の日の月を「十六夜」と書いて「いざよい」と読むこと、月が出ない暗い夜のことを「宵闇」と言うことなど、写真だけでなく日本語の表現の美しさにも驚かされました。

『宙ノ名前』のおかげもあり、秋と冬の星座やそれにまつわる神話について理解を深めたむっちゃんでしたが、解説員役をやるにはまだまだということで、解説員の補助となる投影役を担うことになりました。投影役も侮ってはいけません!解説員の話に合わせて見せる空の時間を変えたり、星座絵を映したりするので、意外と難しいのですよ。見ていただいた方々に、面白かったと言っていただけて、もっともっと星について知りたい、もっともっといろんな星空を見てみたいと思うようになったのです。こうしてどっぷり宙ガール(当時はそんな言葉なかったけど)の道を進むことになっていきました。

ちなみに解説員としてのデビューはその半年後の新入生勧誘イベントの時でした。

テレビドラマ『白線流し』

1996年1月から長瀬智也さん、酒井美紀さん主演のドラマ『白線流し』が放映されました。何気なく見ていた第1話後半に、なんと『宙ノ名前』が登場!!「私、あの本持ってる!!!!」と叫び、家族に驚かれましたよ。
酒井さん演じる女子高生の園子が図書室で『宙ノ名前』を借りてその後ハプニングがあって逃げ走る途中に本を落とし、長瀬さん演じる定時制の渉が拾うという、二人を繋ぐきっかけとなるキーアイテムなのです。
二人は天文好きという共通点から交流するようになり、だんだんと気持ちが惹かれあっていくのですが、高校卒業後の進路を考えるようになって、、、というお話でした。渉の夢が天文台に勤務するというのが、宙ガール的には胸きゅんポイントで、その後の続編まで全部視聴するくらい好きなドラマでした。主題歌のスピッツ『空も飛べるはず』も大好きな曲でカラオケでほぼ必ず歌っちゃいます。

『白線流し』はヒットしたドラマだったので、天文部に入っていたという話をすると「白線流しの影響?」とよく言われました。

違いますよ!むっちゃんが天文部に入ったのは『白線流し』より前だもんね!!
しかも、『宙ノ名前』もドラマより前に持っていたんだもんね!!

林完次先生と五反田プラネタリウム

五反田プラネタリウム

東京都品川区の品川区立五反田文化センター内には『五反田プラネタリウム』があります。


文化センター内には大きな図書館もあり、むっちゃんの家から自転車で行ける距離だったので、中学生の頃から図書館を利用するために通っていました。そのため、プラネタリウムの存在は知っていたけれど、見たことはありませんでした。

それから高校生になって天文部員になったむっちゃんはプラネタリウムにもちろん興味を持ち始めます。館内にあるプラネタリウムのスケジュールを見て、むっちゃんは目を疑いました。
「林完次先生が解説してる!?」

そうなのです。『宙ノ名前』の著者である林完次先生は五反田プラネタリウムで解説員をされていたのです。

林完次先生とご対面

憧れの林完次先生が、まさかそんなお近くで活動されていたなんて・・・
林完次先生が解説される日にむっちゃんは『宙ノ名前』を握りしめて、いざ『五反田プラネタリウム』に討ち入り・・・ではなく鑑賞に。
最近のプラネタリウムにありがちな、アニメーションを流すだけのようなプログラムとは違い、林先生が投影の操作をしながら、その時期に見られる星や星座を林先生が撮影された写真スライドなども交えながら生解説してくださるという贅沢な1時間半ほどのプログラムを堪能しました。
そして、プログラムが終わり、林先生に近づき勇気を振り絞って言いました。
「林先生サインください」
林先生はにこやかにサインに応じてくださいました。
そして林先生が好きだという言葉を書いてくださいました。

このときから『宙ノ名前』は私の宝物になりました。

五反田プラネタリウム休館

その後も予定が合えば、プラネタリウムには通っていたのですが、社会人となり忙しくなってしまってからは、足が遠のいてしまいました。
そんな折、2008年7月から五反田プラネタリウムが休館するというニュースが飛び込んできました。
老朽化のため五反田文化センターを立て直すことになったのです。1982年から活躍している趣のあるプラネタリウムとはお別れで、お別れ前最後の天文講演会は林先生がやられるというので、すぐに予約しました。
そして、林先生の天文愛あふれる優しい解説のプラネタリウムを堪能しました。
その時にも『宙ノ名前』を握りしめていたむっちゃんは初めてお会いした時と同じようにサインをお願いしました。

他に何冊も林先生の本は持っているのですが、やはり特別な時に手にするのは『宙ノ名前』ですね。

なんだか永遠の別れかのように書いちゃいましたが、2010年10月に五反田プラネタリウムは設備を新たにリニューアルオープンし、今でも林先生の特別プログラムを鑑賞することができますよ。いつか子どもたちを連れて観に行きたいな。

まとめ

ここまでの長いお話に付き合って下さりありがとうございました。
『宙ノ名前』は天文学ほど専門的なことには興味がないけれど、星が好きという方には読みやすい本です。
全ページに美しい星空のカラー写真があり、その写真の解説がギリシャ神話だけでなく日本の古典文学などからも引用されていて、日本語の表現力の美しさと多様さに、日本人に生まれて良かったなと改めて思わされます。
パラパラと眺めているだけでも星空を旅しているような気分になり癒されますよ。当時はフィルム写真で撮影された写真ばかりだと思うので、現像するまではどのように撮影できているかもわからないというのに、夜空を切り取ったような美しい写真ばかりで更に驚きですよね。林先生の星空への情熱が感じられます。
ぜひ多くの方々に見てもらいたい本です。あと、機会があれば五反田プラネタリウムにも足を運んでみてくださいね!

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