めったに見ることのできない天体現象の1つである『日食』は、天体ファンでなくとも見てみたいですよね。ですが、太陽を肉眼で見るのはとっても危険!!最悪の場合、失明してしまう恐れもあるんですよ。そんなことにならないように、安全に観察する方法を知っておきましょう。
目次
日食とは
『日食』とは、太陽と地球の間に月が入り込んで、月が太陽を隠してしまう現象です。日食は太陽・月・地球が一直線に並ぶ新月の時に起こるのですが、新月になるたびに必ず『日食』になるわけではありません。地球を回る月の軌道は、太陽を回る地球の軌道に対してやや傾いているため月が太陽を隠さないことがあるからです。さらに、月が地球の周りを回る軌道と、地球が月の周りを回る軌道は楕円になっているので、地球からの月や太陽の距離は変化します。そのため、太陽と月の見かけの大きさが変わってくるのです。太陽と月の見かけの大きさの組み合わせによって、『皆既日食』あるいは『金環日食』になります。
皆既日食
月の見かけの大きさが太陽よりも大きい場合に、太陽が月によって完全に隠される現象が『皆既日食』です。
皆既日食ではあたりが薄暗くなり、日頃は見ることのできない、コロナやダイヤモンドリングを観測することができます。
皆既日食が見られる範囲は狭いため、地上のごく限られた地域の数分間しか見ることができません。
金環日食
2012年5月21日東京で撮影した金環日食(一眼レフカメラ、遮光フィルター使用)
月に見かけの大きさが太陽よりも小さい場合は、月が太陽を隠し切れずに太陽が月からはみ出してしまいます。それが金色のリングのように見えるために『金環日食』と呼ばれています。
皆既日食と同様に見られる範囲は狭いため、地上のごく限られた地域の数分間しか見ることができません。
部分日食
2009年7月21日沖縄本島で撮影した部分日食(コンパクトデジタルカメラ、日食グラス使用)
皆既日食や金環日食の見られる地域の周辺では、太陽の一部が隠れる『部分日食』を見ることができます。稀ではありますが、『部分日食』だけ発生する場合もあります。
観察前にやること
いつどこで観られるのか確認する
日食は毎年、世界中のどこかで発生していますが、日本で見られる日食は数年に1回程度の大変貴重な天体現象です。国立天文台などのサイトでいつどこで観られるのか確認しておきましょう。
専用の機材を用意する
目で見るのであれば『日食グラス』、カメラで撮影する際には『減光フィルター』など観察する方法に合わせて機材を用意しておきましょう。
観察のやり方
太陽はとても強い光と熱を出していますので、安全な方法で観察しないと失明する場合があります。例えば、以下のような方法で観察するのは絶対NGです!!!!
・肉眼で直接見る
・望遠鏡や双眼鏡を覗く
・サングラスを使う
・黒い下敷きを使う
・フィルムの切れ端を使う
・煤けたガラスを使う
煤けたガラスを使う方法などは昔は良しとされていたようですが、目に影響を及ぼす光線をカットしてはくれないので、必ず次に紹介するような安全な方法での観察をお願いします。ここではお子さんでも簡単に観察できる方法をご紹介します。
ピンホールを利用する
ピンホールとは針で開けたような小さな穴のことです。この小さな穴に太陽の光を通して紙や地面に写すと、太陽の形が分かります。
木漏れ日を利用する
ピンホールと同じ原理で、木の葉の隙間から漏れる太陽の光である木漏れ日が日食の時は欠けて見えます。
日食グラスを利用する
日食専用のグラスを使うと安全に観察することができます。ただし使い方を誤ると失明につながりますので、必ず取扱説明書にしたがって使用してくださいね。
例えば、日食グラスと双眼鏡を組み合わせて使うなんてことは大変危険ですので絶対にしないでくださいね!!
最後に
安全に観察する方法はここで紹介したものだけではなく、他にもあります。個人で観察するのに不安を感じる場合は、科学館や天文台、教育機関などが開催している観測会に参加するのをお勧めします。
コメント