沖縄でのキャンプには興味があるんだけど、「ハブ」が怖いのだと最近知人に言われました。そう、沖縄で有名な危険生物と言えば、猛毒を持つへび「ハブ」ですよね。実はハブに遭遇する機会はそれほど多くはないのですが、年間約60~70名は咬まれた被害にあわれる方もいるので、出会ってしまったらと考えるとやはり怖いものです。まずは出会わないためにハブの特徴を理解して野外で活動することが大事ですが、もしも出会った時のためにも対処法について知っておきましょう。
目次
沖縄の危険生物「ハブ」
南国の島である沖縄は海の方が危険な生物が多いです。しかし、陸の危険生物である「ハブ」は普段の生活をしていて出会う可能性があるので、さらに恐怖に感じます。
今回ハブについて調べるにあたり、やんばるの森に詳しいBさんに話を伺いました。かくいう私は、Bさんに連れて行ってもらった、やんばる探検でヒメハブに遭遇したことがあるのです。沖縄に移住して5年以上経ちますが、ハブに遭遇したのはその1度だけ。その時に安全にやり過ごすことができたのはBさんのおかげ。というわけで、Bさんに改めてハブについてお聞きしましょう!
ハブはどこにいる?
沖縄の屋外の観光施設や公園に行くと、多くの場所で「ハブに注意」の看板を見かけます。
近くの公園でも「ヘビに注意」の看板があり、娘は見るたびにそわそわ。
ハブってどこにでもいるものなのですか?
私の住むところは住宅街ですが、1年ほど前に近所でハブ発見の連絡があって、街中でもいるのだなとびっくりしたんです。
ハブはどこにでもいるよ~
ハブの餌になるネズミがいれば、ハブもいると思った方が良いね。
なるほど。特にこんな場所に注意した方が良いよというのはあるんですか?
夜行性で太陽の光が苦手だから、昼間は茂みの中や岩の間とか日当たりの悪い場所に隠れてるのよ。
だから、むやみに藪の中に入ったりすると危ないよ。
噛まれた人は、藪や草むらで作業したり、夜道で気付かずに踏んだり跨いだりする人が多いんじゃないかな~
ハブの種類
「ハブ」といっても、沖縄本島に生息するハブは実は4種類いるのですよ。
沖縄県の陸上には22種類のヘビが住んでいます。しかも、そのほとんどが琉球列島だけに住む貴重なヘビです。そのうち毒ヘビは8種類生息していますが、危険なのはハブ・ヒメハブ・サキシマハブ・タイワンハブ の4種類で、人間に害のない種類の方が多いのです。
引用:沖縄県衛生環境研究所
◇ハブ
頭の形が三角形で、黄色か白の地に黒い網目模様をしています。ネズミを食べるので、家の近くにも生息しています。生まれた時は約40cmで、成長すると2mくらいまで大きくなります。
子どものハブでも毒の強さは変わらないから油断したらダメだよ~
◇ヒメハブ
ハブよりも太くて短い体型が特徴で、灰色かこげ茶色に黒いまだら模様があります。体長は50~80cmほどで、枯葉などに隠れてじっとしているため、沖縄の方言で「ニーブヤー(いつも眠そうにしてる人)」と呼ばれています。カエルが好物で水辺によくいるそうです。
私たちがやんばるの山の中で出会ったのはヒメハブでしたね。
そうさあ。
あの時は6月の繁殖期だったから、1匹見つけたら近くに他にもいる可能性が高かったから、先に進むのを諦めて戻ったわけよ。
◇サキシマハブ
元々は八重山諸島に生息していたのですが、沖縄本島南部にも定着しています。茶色の字に黒いギザギザ模様をしています。体長は1m以下と少し小さめです。
◇タイワンハブ
サキシマハブによく似た見た目をしています。台湾や中国大陸に生息していましたが、沖縄本島でも捕獲されるようになりました。
ハブに出会わないためには
沖縄県では、ハブの活動が盛んになる5、6月に「ハブ咬症注意報」を発令し、田畑や山野、草地等への出入りや夜間に歩行する際には十分に注意するよう呼びかけています。
- 不用意に草むらには入らない。
- 夜道は道路の中央を歩き、暗い場所では照明を持って足元を照らしながら歩く。
- 洞窟や小屋などに入るときには、周辺や頭上を確かめてから入る。
上記のように、ハブに遭遇しないような行動を普段から心がけましょう。
草むらに入って作業などをするときには深い長靴を履いたり肌が露出しないような服装にしようね。
確か、やんばる探検に行くときにBさんから長袖長ズボンに長靴で来るようにと言われましたね。
それと、慣れない人や観光客が山や森に入るときには、個人で入らずに慣れたガイドに案内してもらった方が良いね。
それでもハブに出会ったら
ハブに出会っちゃったらどうしたら良いですか?
まずは、攻撃範囲から遠ざかるのが大事さね。
身体の長さの半分くらいが攻撃範囲とされているから、1.5m以上は遠ざかった方が良いね。
なるほど、ハブにもソーシャルディスタンスが大事なのですね!!
だからね~
もし見つけたのが街中なら、捕獲してもらうために、攻撃範囲に入らずに観察して、警察に連絡しようね。
そうか、そのまま放っておいたら、危険ですものね。
ハブを買い取ってもらえるからと、素人が捕まえようとするのはやめなさいね。
咬まれたらとっても危ないからねぇ。
もしもハブに咬まれたら
咬まれてしまったら、どうしたら良いのでしょうか。
沖縄県衛生環境研究所では以下のように対処するよう呼び掛けています。
1.まず、あわてずに、ハブかどうか確かめます
ヘビの種類が分からなくても、ハブなら牙のあとが普通2本(1本あるいは3,4本の時も)あり、数分で腫れてきてすごく痛みます。2.大声で助けを呼び、すぐに医療機関へ受診しましょう。
走ると毒の回りが早くなるので、車で病院に運んでもらうか、ゆっくり歩いて行くようにしましょう。3.山間地などで咬まれ、病院まで時間がかかる場合は、包帯やネクタイなど、帯状の幅の広い布で、指が一本通る程度にゆるく縛ります。
決して細いヒモなどで強く縛ってはいけません。恐怖心から強く縛ると血流が止まり、逆効果になることもあります。※山間地の作業は可能な限り複数人で行いましょう。万が一に備え、携帯電話の通信電波が届くか確認しておきましょう。
※痛みや気分を紛らわせるために鎮痛剤やお酒を飲んではいけません。
ハブとの共存
猛毒で恐れられているハブですが、琉球時代から身近で大切な生き物でもあります。
沖縄の伝統的な酒「ハブ酒」
ハブを泡盛に漬けた「ハブ酒」は滋養強壮に効く薬膳酒として昔から作られており、お土産としても定着しています。
最近では「琉球ハブボール」というチューハイも販売されていますよ。
私も飲んだことがありますが、ハーブとシークヮーサーがハブ酒独特の香りを消してくれていて飲みやすかったです。
大島紬の伝統文様
奄美大島の織物である大島紬。
その代表的な柄である龍郷柄(たつごうがら)はソテツの葉とハブの模様をモチーフにしたとされています。
最後に
猛毒を持つハブは危険な生き物ではあるけれど、本土にはいない貴重なヘビでもあるよね。
過剰に怖がらず、住処になるところには近づかずに、適度な距離感で共存していきたいね。
そうですね。危険だからと絶滅させて良いわけではないですものね。
Bさん、お話ありがとうございました。
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